最低賃金とは、使用者(企業)側が労働者に対して支払う賃金の最低額のことを言います。日本では、最低賃金法は日本国憲法第25条の生存権(1,すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない)に基づいて定められています。仮に最低賃金より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で決定しても、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。もちろん、この最低賃金法は正社員やパート・アルバイトといった勤務形態の違いにかかわらず適用されます。

また、日本は世界的にも珍しく地域によって最低賃金に差があります。2006年10月に改定された最低賃金の一例を挙げると、もっとも高い最低賃金は東京都の1時間あたり719円、次いで神奈川県の717円、大阪府の712円、低い地域を見てみると、青森県・岩手県・秋田県・沖縄県の610円となっています。
そもそもなぜ地域により、賃金に差があるのでしょうか。私も甚だ疑問ではあるのですが、現行の制度では、厚生労働省の中央最低賃金審議会が厚生労働大臣へ引き上げ(引き下げ)の答申を行い、その答申を元に、各都道府県の審議会がそれぞれの最低賃金を定める形式となっているのです。
確かに使用者側からすればできるだけ賃金を下げたいと思うのは当然でしょうし、仮に最低賃金を上げたならば、その分雇用する人数を削減するなどの処置をとるしかなく、一部のアルバイト、パートに対する負担が増加すると考えている企業が多いようです。
また、2007年5月に行われた規制改革会議では「労働者の保護を強くしすぎることによって正規の雇用を抑制する結果を招いている」と述べています。これは先の2007年3月に民主党によって衆議院に提出された格差是正緊急措置法案(最低賃金を時給1000円程度とするなどを骨子とした法案)を受けて論じられたのですが、今後どのように論じられていくのか注目していきたいです。

また、日本の最低賃金には地域別と産業別とが設定されています。優先順位は産業別で定められた最低賃金の方が地域別に定められた最低賃金より優先されますので、産業別で設定されている産業(業種)については産業別の最低賃金が適用されます。ちなみに、産業別の最低賃金も各都道府県で差があるのですが全国で一律の最低賃金が設定されている非金属鉱業もあります。また、各都道府県により最低賃金が定められている業種は異なりますので、御自身の都道府県を確認するといいでしょう。最低賃金が定められている業種は鉄鋼業や機械製造業、自動車関連の製造業などが多いようです。
最低賃金が適用されない場合は試用期間中の方や認定職業訓練を受けている方、精神または身体の障害などにより著しく労働能力の低い場合、労働時間が短い場合などがありますが、その場合、使用者(企業)側は労働監督基準監督所に最低賃金適用除外申請書を提出しなければなりません。


雇用に関する法律として、まず民法に規定されています。民法623条には、「雇庸(雇用)は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約して、相手方がその労務に対して報酬を支払うことを約することによって効力を生ずる契約である」と規定されているのです。民法での雇用関係はあくまで使用者と労働者が対等な立場で、おのおのの自由な意志により結ばれることを前提としています。しかし、現代社会において、使用者と労働者が平等であるとは必ずしも言い切れません。そこで労働三法と呼ばれる、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法などの法律で細かな規定が設けられています。ここでは労働三法の簡単な概要とそのほかの雇用に関係する法律について見ていきたいと思います。

労働基準法
労働基準法には賃金、労働時間、災害補償など重要な労働条件について最低限の規定を定めています。詳しくは「雇用と法律2」を参照してください。

労働組合法
労働組合法は憲法28条の「勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」条文を受け制定されました。その内容は大きく分けて、団結権(労働者がみずからの経済的地位の向上を図るための団体(労働組合)を組織する権利)、団体交渉権(団結した労働者がその代表を通じて使用者と労働条件等の問題について交渉する権利)、争議権(労働者が、その主張を貫徹するために、結束してそのもつ労働力を引き揚げ、使用者の業務の運営を阻害することにより、使用者に経済的圧力を加える権利=ストライキなど)の3つの権利について規定されています。このような規定により、企業側が法律で定められた最低基準を守っているかのチェックとともに、さらなる労働環境の向上に向けて交渉を行うことを可能にさせています。また、労働関係調整法では、労働組合と企業との公正な調整を行うために国や地方公共団体に労働委員会が設置されています。

男女雇用機会均等法
昭和47年に制定されたのが最初の法律です。女性に対する労働上の差別をなくすために改正が重ねられてきました。近年の大幅な改正は1999年に行われ、募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇において、男女差をつけることが禁止されました。その後2006年、2007年にも改定が重ねられています。ハローワークなどで求人探す場合などは、以前は男性募集か女性募集か区別されていましたが、この改定により、一定の条件以外では明記されることは禁止されたのです。また、2000年には男女共同参画社会基本法も制定されました。しかし、現在においても女性に対するセクシャルハラスメントが減少しないなどまだまだ社会的に十分に浸透してきたとは言えないのが現状の様です。一刻も早い男女がお互いの人権を尊重しつつ、能力を十分に発揮できる、男女共同参画社会への実現が求められるのではないでしょうか。


ここでは、労働基準法について簡単に見ていきたいと思います。労働基準法では、賃金、労働時間や休日、休憩、就業規則などが規定されています。労働者側にとって重要である点を少し詳しく見ていきましょう。

○禁止事項
労働者の国籍や信条(特定の宗教など)または社会的身分などを理由とする労働条件の差別が禁止されています。また、労働契約の締結の際には賃金や労働時間を含む一定の事項については、これらを記載した書面を労働者に交付することが求められています。さらには労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約の禁止、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金の相殺の禁止も定められています。

○解雇関係
解雇については18条に次のように規定されています「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」。ですので合理的ではない一方的な労働者の解雇は無効とされます。また解雇してはならない期間も定めら、「労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり、療養のため休業する期間及びその後の30日間」、「産前産後の女性が規定により休業する期間およびその後30日間」に該当する期間は解雇できず、特例として解雇する場合は労働基準監督署長の認可が必要となります。
また使用者が労働者を解雇しようとする場合は少なくとも30日前に予告をしなければならないと定められています。仮に30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければ解雇はできません。この条件が適用されない場合もあります。1ヶ月未満の日々雇い入れられる方や、2ヶ月以内の期間を定め使用されるものでその期間を超えない場合、14日以内の試用期間中の者。(ただしこの場合は民法により期間の定めのない雇用契約であれば民事上、使用者は2週間前に予告をしなければならないとされています)、季節業務に4ヶ月以内の期間を定め使用されるものでその期間を超えない方などの場合は適用除外となります。

○就業規則について
修行規則については常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し労働基準監督署に届出なければならないとされ、その内容は必ず記載しなければならない事項と任意での記載事項があります。必ず記載する事項は「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、就業時転換」「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給」「退職および解雇」とされ、任意の記載事項には臨時の賃金や退職手当の支払いについて、災害補償や表彰などがあります。


ここでは労働基準法の中でも、賃金や休日、労働時間などについて簡単に見ていきたいと思います。

○賃金について
賃金の支払については第24条に次のように規定されています。
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」
「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので臨時の賃金等についてはこの限りでない」

特例として「法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合」や「法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合」と規定されています。 もちろん給料の天引きも禁止されています。

○ 休日、休息
休日は、週1日又は4週に4日以上与える旨が規定されています。休息時間も定められていて実労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を与えることを使用者に求めています

○深夜業と割増賃金
午後10時から午前5時までの間の労働を深夜業といい、使用者は18歳未満の就労が禁止されているほか、2割5分以上の割増賃金の支払い義務を負います。また法定時間を超える時間外労働に関しても通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払う義務を負います。

○年次有給休暇
年次有給休暇の付与日数にも定められた日数があります。もちろんパートやアルバイトにも決められた付与日数があります。年次有給休暇が与えられる条件としては、6ヶ月以上の継続勤務し、その全労働日の8割以上出勤する必要があります。一週間の所定労働時間と働いた日数により違いがありますが、週所定労働日数が4日以上又は1年間の所定労働日数が169日から216日の場合で継続勤務年数が6ヶ月以上の場合は7日、週所定労働日数が2日以上又は1年間の所定労働日数が73日から120日の場合で継続勤務年数が6ヶ月以上の場合は3日の年次有給休暇が与えられます。また、日数は継続勤務年数が増えるにつれ、増加します。

おおまかに労働基準法を見てみましたがいかがでしょうか?すでに知っている事の方が多かったかもしれません。しかし、重要なことは労働基準法における基準はあくまで最低限の基準であり、企業側はさらなる労働者に対する労働環境の向上が求められている点です。労働者と使用者は対等でなければならないのです。

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